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もう終わりにしようかな。

終わりにしたいな。と思い出したのは きっと始まった時すぐにだった。

 

色々と誤魔化して、ありもしない可能性に 少し期待して

 

それらもほんとに現実とは遠い遠い世界で

夢は夢のままなのだと。

やっぱりそうだった。

 

あの暖炉の火を見ながら

この薪のように 燃えるだけ燃えたら灰になる。

このとんでもない値段のワインだって 飲み干せばなくなる。

靴を履いたら 。

車のドアを閉めたら。

アタシは あの場所に帰らなければならない。

アタシの欠片は消し去って。

 

送られてきた画像の笑顔に

もう何も心が動かなくなった。

 

K

君の胸に頬を近づけると

「僕はもう貴女じゃないとだめなんです」

そう声が聞こえたような気がした。

 

アタシの傲慢さからの空耳なのか

確かめようと君の顔を見上げると

君の目は天井の何処かを見つめていて

その唇はからっからに乾いていて

 

それがとても愛おしくて

ふいにキスをしたくなったの。

 

アタシと君との接点が極力無いようにと

どこも触れないように愛撫していたのに

(アタシはアタシの体内から出る吐息で君を愛でていた)

 

君の体温や湿り気をほんの数ミリの距離で感じてきたのに

(君はアタシの肌を感じ取ろうと大きく息をしてたね)

 

薄い唇は乾いたまま

舌先を触れることもなく こどものようにキスをして

君は少しも動くこともなくアタシのなすがままで その掌も上向きで ただ荒く息をしていた。

 

記憶

香りの強い煙草だ。

見た事もない銘柄。

吸うのではなくふかすのだよと君の唇が煙りを吐く。

すかさず 唇を重ねる。甘い味が私に移る。

ずっと前から こうしてやりたかった。

好きだからとかじゃなく

私が思ってた事を確かめたかっただけ。

ずぅっとむかしの出来事を。

月に泣く夜

体調のせいか
凄く気持ちが不安定。

たとえ抱きしめてくれる人がそばにいても癒されることもない この現状。

沢山の悪い事がしたくなりタバコを吸ったりお酒をガブ飲みする。

破滅に追いやる。
馬鹿になりたくなる。
自分を傷つけ壊したくなる。

何もかも要らなくなるのに
自分だけは無くしたくない。

確かめるように
泣きながら 何度も自分を壊す夜。


雪の朝、誰もまだ来ない校庭。

真っ白なキャンパスを 自分だけの足跡で埋めていく。
皆が雪だるまを作るのに必要とする 壁の上などにある土の付いてない綺麗な雪を片っ端から落としていく。

車の上に積もった雪を払いのける。
雪から開放され息を吹き返したように 本来の姿を現わす車体。朝日でボンネットが光る。

運動靴も手袋も雪まみれ。
冷たさがじわじわと染み入ってくる。
そんなことは御構い無しに
私は夢中になって楽しんだ。

「白く美しいもの」を誰よりも先に壊したり汚したりすることに。


生活や仕事の事を気にしなければならない年齢になってから雪の朝はつまらないものになってしまった。

またひとつ
失ったものを見つけて心が痛い。